その時はまだ、民宿を開業しようなんて夢にも思っていなかったんです。
建築家・伊礼 智さんの著書「オキナワの家」と出会って古民家の魅力に惹かれ、ただ漠然と古民家は素敵だなと思っていただけでした。
そして、古民家が見られる様々な観光スポットを訪れたりしました。
中村家住宅、沖縄市立ふるさと園、おきなわ郷土村、識名園、等々。
そして、それは琉球村に行った時のこと。
園内を見て回った後、大城家の一番座に腰を下ろして休んでいると、
座敷の中にかすかな風が入り込んできました。
その風はとてもさわやかで気持ちいい風だったのです。
「この風なんだ、この風とともに沖縄の人たちは暮らしてきたんだ」と感じました。
中村家では夏でもエアコン要らずという話を聞きましたし、そういえば沖縄の歌の中にも「風」という言葉がよく登場します。沖縄は風の島とも言えるんですね。
そして、古民家には夏でも涼しく過ごせるよう、雨端や瓦屋根、くーきみーなどの暑さをしのぐ構造的な仕掛けが所々に施されているのです。
古民家で心地よい風に癒されてから、次第に自分の中で古民家に住んでみたいという気持ちがふつふつと湧いてきました。
その日以来、休日を利用しては古民家の借家を求めて不動産屋巡りをするのが日課となるのでした。
つづく・・・